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 認知症研修会  2012年2月11日(祝)                       ポスター
「明日からできる認知症の生活スキル 行動リハビリテーションを活用する」

行動リハビリテーション研究会が主催する認知症研修会が東京都東陽町にある臨床福祉専門学校で開催され、90名近くの多職種の先生方が参加されました.同時に、北海道恵庭の日本福祉リハビリテーション学院ではSkype(インターネットテレビ電話)を用いた中継に,10名の先生方が参加されました.

今回の研修会では,応用行動分析の理論に基づき,認知症患者の行動問題の分析と介入方法について3名の先生から講義が行われました.さらに特別講演として,研究会顧問の山本淳一先生(慶應義塾大学文学部教授)から「『できる』を増やす行動支援:明日から活用する応用行動分析学(ABA)入門」と題したご講演を頂きました.

簡単ではありますが,当日の講演内容を紹介させていただきます
 「応用行動分析学の基礎」
 鈴木誠先生 (新潟医療福祉大学医療技術学部)
応用行動分析学の理論について講演が行われきました.「認知症の方と接する中で難しさを感じる先生は挙手をお願いします.」と鈴木先生が言われると,出席されている多くの先生方の手が挙がった光景が印象的でした.誰もが認知症患者に対する介入の難しさを感じているということでしょう.結論として「行動の原因は心の中にあるのではない.」,「成功を体験出来るように,先行刺激や後続刺激を調整することが,適切な行動を引き出す上で重要である.」という内容でした.自分の臨床を振り返ると,対象者の方に繰り返し失敗を経験させてしまったり,「やる気がない」とラベルを張ってしまっていることを思い出しまいた.理論を学ぶことより,実践することが大切だと反省させられる内容でした.
 「認知症患者に対する行動分析学的介入」
 山崎裕司先生(高知リハビリテーション学院理学療法学科)
認知症の方に対して言語を用いて行動修正を行った場合,レスポンデント行動を誘発し,人間関係の悪化や回避行動が形成されます.介入の基本は,無誤学習にあり,それを実現するには,プロンプト・フェインディング,段階的な難易度の設定,課題分析と連鎖化などの技法を用い,さらに強化刺激の整備を図ることが必要になります.講演では,実際の症例が動画によって紹介され,これらの技法の効果が目で見て理解できる内容でした.

私たちは問題行動を修正する際には,口頭による注意を行います.しかし,それは効果的でないことが説明されました.問題行動に拮抗する適切な行動に注目し,それを増加させていくことで問題行動を相対的に減少させる重要性が示されました.
 「介入事例紹介」
 加藤宗規先生(了徳寺大学健康科学部理学療法学科)
認知症患者に対する具体的な介入方法について事例を通して説明がなされました.適切に行動が出来ないのは,行動連鎖が学習できていないことが主たる原因と考えます.そう考えると,たとえ認知症が改善しなくても,行動連鎖を再学習させることで動作能力は改善させられることになります.ここに大きな可塑性が存在するわけです.重度の認知症を合併した対象者の動作能力が劇的に改善した症例を目の当たりにして,大きな感動を覚えました.

トイレ動作の課題分析によって作成されたチェックリストを用いた介入が紹介されていました.介入によって動作能力が向上するとチェックリストによってそれが確認できるように工夫されていました.成績のフィードバックは認知症患者に対する強化刺激となるだけでなく,介護スタッフや看護師などを含めたチーム全体で適切な介入を行うという行動を強化する機能を持っていることに気づかされました.
 特別講演「『できる』を増やす行動支援:明日から活用する応用行動分析学入門介入事例紹介」
 山本淳一先生(慶応義塾大学文学部心理学専攻)
重度の自閉症児が3名紹介されました.介入前,言語指示に従えず,適切な行動が取れない自閉症児を見たときには,自分であれば手の施しようがないと感じました.介入では,適切な具体的行動目標が決められ,見通しを持たせる先行刺激と強化刺激の整備が行われていました.

意味のある言語が発声できない児に対して,ワープロ操作を教えることで,写真と文字の見本あわせを繰り返し,児に言語を習得させていく介入がありました.介入前はわずかな時間も集中することができなかった児が,良い姿勢でコンピューターの前に座り続け,苦手であった言葉で教育者に助言を求める場面がみられました.「ワープロ操作が上達している」「言語が理解できるようになっている」という強化刺激が,その他の様々な機能に好影響を与えていることが見て取れました.

講演が進むにつれて感じたことは,言語に従えない自閉症児に対する介入は,重度の認知症患者に対する介入に似ているということです.先生の講義を聴いていると「指示に従えないから」,「指示を覚えられないから」という自分の言い訳がむなしく感じるようになりました.同時に,明日からの認知症患者に対する介入に大きな期待が持てるようになりました.
明日から行動分析を用いた臨床を行いたいという動機付けを,十分すぎるほど高めていただけた研修会でした.